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吃音とは何?


吃音の特徴

吃音には発達性吃音獲得性吃音の2種類があります。

発達性吃音は生まれつきのもので、主に幼児期に発症します。

対して獲得性吃音は脳梗塞や脳卒中などの脳障害が原因で発症します。

 

吃音者の90%以上が発達性吃音です。

なので、ここでは吃音=発達性吃音の定義で話しています。


吃音者の割合

吃音は2~5歳ごろに突然発生することが特徴です。

その発症率は人種や地域に関わらず一定で約5%です。

発症する男女の比率は男:女=3~5:1と男子に多いんですね。

発症した子どもでもそのうち約75%は自然治癒して無くなっていきます。

男子は発症後3年以内で6割、女子は3年以内で8割が自然治癒していきます。

 

つまり男子の場合3年以内で吃音が無くならないと、自然治癒する可能性が低くなるということです。

 

そして、成人の吃音者は全体の約1%です。

100人に1人は吃音者ということになるので、案外吃音者って多いと思いませんか?

 

1学年30人学級の4クラスだったら一人は吃音者がいることになります。

あなたも今まで気が付かなかっただけで吃音者に会ってきたと思いますよ。


吃音の"波"

吃音の特徴として変動するがあげられます。

吃音の”波”とは2つあり

どもりにくい期間どもりやすい期間の波
同じ言葉や状況でも、どもりやすい時どもりにくい時の波

どもりにくい期間の時は、自分でもびっくりするくらい本当にすらすら喋ることができるんです。

「吃音はなくなったんじゃないか」と思ってしまうほどです。

しかし、その良い波が終わりどもる波が押し寄せてくるとどもりまくってしまいます。

良い波の反動で「やっぱり治ってなかった・・・」とより落ち込む原因にもなります。

 

また、昨日は学校で言えてた言葉が今日は言えないということもあるので、そのギャップに吃音者は苦しめられます。

そして、保護者の方も子どもが家ではどもらずに喋るのに、学校ではどもってしまうという報告を受けると戸惑ってしまいがちです。


吃音が出にくい状況

吃音は歌う時や二人以上で同時に喋る斉唱では出にくくなります。

歌はリズムがついているから喋りやすくなるという見解があります。

そこで、吃音治療の一環としてリズムをつけた話し方をする訓練方法があります。

元総理大臣の田中角栄氏も吃音者でしたが、浪曲を学ぶことで話し方にリズムがついて吃音が減ったという話もあります。

ただし、日常生活でリズムのをつけると話し方が不自然になってしまうという欠点があります。

 

そして斉唱は他の人の声に引っ張られるためなのか、大勢の声の中にいれば自分の吃音が目だたくなるという安心感があるためか吃音が出ずに喋れるという見解もあります。

音読なんかもみんなで一斉にすると全く吃音が出ずに読むことができます。

本当に不思議なんですよね。


吃音の3型

吃音には

連発(言葉の繰り返し)

例.「おはよう」→「お・お・お・お・おはよう」

最初の1音以外は意外とスムーズに喋れたりもしますが、1息入れるとまた吃音が出て繰り返してしまいます。

伸発(言葉の引き伸ばし)

例.「おはよう」→「おーーはよう」

言葉を出せるタイミングまで引き伸ばしてしまうので、不自然な話し方になってしまいます。

難発(言葉が出ない)

例.「おはよう」→「・・・・ぉはよう」

言葉を出そうとすると、喉元まで言葉が来ているのにそこでひっかかって出てこないようなイメージでしょうか。

無理して言葉を出そうとすると、顔が赤くなって口元が歪んで喉がこわばって体も硬直してしまいます。

なので、話し相手からはとても心配されたり不審がられたりします。

 

吃音の90%は語頭で生じます。

 

連発と難発を隠そうとして、不自然でない程度に伸発を多用してしまうことがよくあるんです。

そして、息を入れると吃音が出るので、息継ぎをしないでいっきに喋ろうとしてしまいとても早口になってしまうことも多いんです。


吃音を隠すための工夫

吃音者は吃音が出ないように色々工夫しながら話しています。

 

それは単純に言葉を出しやすくするためが一つです。

もう一つは周囲に吃音者であることを知られないようにするためです。

 

挿入

何か言葉を入れながら話す方法です。
吃音が出そうな言葉の前に何か別の言葉を挟むことで、言いやすくしたり出るまで別の言葉で補ったりします。
例.「おはよう え~~ 今日はいい天気ですね」

助走

言いやすい言葉を前置きにして話す方法です。

吃音は語頭がほとんどなので、言いやすい言葉を前置きにすることで言葉が出やすくなります。

例.「え~~~ おはよう。あ~ 今日はいい天気ですね」

置き換え

言葉の順序を入れ替えて話す方法です。言いやすい言葉を先にもってきて、話します。
例.「今日はいい天気ですね」→「いい天気ですね。今日は」

言い換え

吃音が出そうな言葉を同じ意味の別の言い方に変えて話す方法です。
例.「今日はいい天気ですね」→「本日もいい天気ですね」

随伴症状

言葉を出すために膝を叩いたり腕を振るなどをして勢いつけます。
一度これで言葉がスムーズに出ると次回も同じことをしていますが、あまり持続性がなく様々な方法を試してしまいがちになります。

中止

吃音が出ると言えるまで会話を止めてしまいます。
急に沈黙になるために相手から不思議がられます。

回避

そもそも話をする場面から逃げてしまうことです。
新学期の自己紹介や音読の授業などがあると、教室から逃げてしまうこともあります。
症状が重くなると人と話さないように引きこもりになることもあります。
ちなみに、「挿入」から「回避」に向かうほど深刻度が大きくなります。
吃音が出ても、言葉が出て伝えられるうちはまだいいんです。
吃音があるから「もういいや」と伝えようとする行為をあきらめてしまうと、社会生活にも支障がでるので注意が必要です。